マウスピース矯正(インビザラインなど)は、ワイヤー矯正より快適で人気が高い一方、
“自己管理型”であるため、トラブルが起きるケースもあります。
ただし、ほとんどのトラブルは
原因を理解して正しく対処すれば深刻化しません。
ここでは、患者さんから実際に寄せられる代表的な5つのトラブルと、
正しい対処法、歯科医院へ相談すべきタイミングまでまとめて解説します。
1. マウスピースが「浮く/はまらない」
■ 原因
・装着時間が22時間未満
・アライナーの浮き(シートの変形/歯の動きの遅れ)
・アタッチメントとの噛み合わせ不足
・新しいアライナーに交換した直後
■ 対処法
・チューイーを5〜10分しっかり噛む
・前アライナーを数時間戻して装着し、再フィットを促す
・洗浄剤・熱湯などで“変形”させていないか確認
■ 受診の目安
・1〜2日続けても完全に浮いたまま
・痛みが強く、装着が困難
2. 痛みが強い/噛めない
■ 原因
・新しいアライナーの初期圧
・歯の動きが早い/計画との差異
・マウスピースの尖り(バリ)
■ 対処法
・2〜3日は様子を見るのが基本
・尖っている部分はヤスリで軽く整える(医院の指示範囲で)
・食事は軟らかいもの中心に切り替える
■ 受診の目安
・耐えられない痛みが3日以上続く
・歯ぐきに傷ができて治らない
3. マウスピースが割れた/欠けた
■ 原因
・片側だけ強く引っ張る取り外し方
・歯ぎしり・食いしばり
・熱湯での洗浄による変形
■ 対処法
・次のアライナーに進めるかは自己判断NG
・破損アライナーは捨てずに保管
・応急的に“前のアライナー”に戻すことも可
■ 受診の目安
・割れたまま装着すると浮く/痛みが出る
・次のアライナーが入らない
4. 発音が悪くなる・息が漏れる
■ 原因
・舌の位置変化(特にサ行・タ行)
・装着直後は空気の逃げ道が変わる
■ 対処法
・“さしすせそ”の発音練習をゆっくり行う
・チューイーで密着度を高める
・会話量を少し増やし、慣れを促す
■ 受診の目安
・2週間以上続く
・明らかなズレや浮きがある
5. 虫歯・歯ぐきの腫れが出る
■ 原因
・歯磨き不足で細菌が増殖
・装着時間が長い→汚れが密閉されやすい
・マウスピースの清掃不足
■ 対処法
・食後すぐの歯磨き(難しい時はうがい→帰宅後に徹底磨き)
・マウスピースは歯磨き粉NG(傷の原因)
・専用洗浄剤を週2回
■ 受診の目安
・歯ぐきの腫れが3日以上続く
・痛くて噛めない/冷たい物がしみる
まとめ:トラブルは“早期対処”が最重要。迷ったら歯科医院へ相談を
マウスピース矯正でよく起こるトラブルは、
ほとんどが自宅でできる簡単な対処で改善します。
しかし、
・数日続く
・生活に支障が出てきた
・装着できない
などの場合は、自己判断せず歯科医院に相談を。
ひとりで悩まず、早めに対応することで
治療の遅れや悪化を確実に防げます。