
この記事の3行まとめ
- 歯周病は、糖尿病をはじめとする全身疾患との関連が報告されています。
- 歯周病や全身疾患がある方は、状態を確認したうえで矯正治療の開始時期を判断することが大切です。
- 矯正治療前には、歯並びだけでなく、歯ぐきや歯を支える骨の状態も確認します。
「歯周病は、口の中だけの病気ではないと聞いた」
「糖尿病があっても矯正治療を受けられる?」
「歯周病を指摘されたことがあるけれど、歯を動かしても大丈夫?」
このような疑問や不安をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気です。進行すると歯を支える骨が失われ、歯が動いたり、噛みにくくなったりすることがあります。
また、歯周病は糖尿病をはじめとする全身疾患との関連が報告されています。ただし、歯周病があるからといって必ず全身疾患を発症するわけではなく、歯周病の治療だけで全身疾患を治療できるという意味でもありません。
この記事では、歯周病と全身疾患との関係を一般的な情報として紹介したうえで、矯正治療を検討する際に確認しておきたいポイントを中心に解説します。
全身疾患の診断や治療については、それぞれの疾患を担当する医師へご相談ください。現在治療中の病気や服用している薬がある方は、矯正相談の際に歯科医師へお伝えください。
歯周病とは?
歯周病は、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着した細菌性プラークを主な原因として、歯の周囲に炎症が起こる病気です。
歯肉炎
炎症が歯ぐきに限られている状態です。
歯周炎
炎症が歯を支える骨や歯根膜などにまで広がった状態です。
歯周炎が進行すると、歯を支える歯槽骨が少しずつ失われます。その結果、歯ぐきが下がったり、歯が動いたりすることがあります。
歯周病でみられることがある症状
- 歯みがきのときに歯ぐきから出血する
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 朝起きたときに口の中がねばつく
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がり、歯が長く見える
- 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすい
- 歯が動く、または噛みにくい
歯周病は、初期には強い痛みが現れないこともあります。自覚症状が少ないまま進行する場合があるため、出血や腫れが続いている場合は、痛みがなくても歯科医院で確認することが大切です。
歯周病と全身疾患にはどのような関係がある?
厚生労働省では、歯周病と糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、妊娠・出産などとの関連について情報が示されています。
なかでも糖尿病は、歯周病との関連が比較的よく知られている全身疾患です。糖尿病がある方は歯周病が進行しやすくなる場合があり、歯周病による炎症が血糖コントロールに影響する可能性も指摘されています。
ただし、歯周病と全身疾患には、年齢、喫煙、食生活、運動習慣、肥満、既往歴など、複数の要因が関係します。
関連があることと、直接の原因であることは同じではありません
歯周病があるからといって、必ず全身疾患を発症するわけではありません。また、歯周病を治療すれば、糖尿病などの全身疾患も治ると断定することはできません。
全身疾患がある場合は、医科で必要な検査や治療を継続することが基本です。そのうえで、口腔内の慢性的な炎症を放置せず、歯科医院で歯周病の検査や管理を受けることが大切です。
全身疾患がある方が矯正相談で伝えたいこと
全身疾患そのものの診断や治療は医科で行いますが、病気の状態や服用している薬が、歯科治療の進め方に関係する場合があります。
矯正相談を受ける際は、次のような情報を歯科医師へお伝えください。
- 現在治療を受けている病気
- 過去に治療を受けた大きな病気
- 服用している薬や注射薬
- 薬に対するアレルギー
- かかりつけ医から伝えられている注意事項
- 最近の体調や治療状況の変化
糖尿病、心臓や血管の病気、骨粗しょう症などで治療を受けている方は、お薬手帳を持参すると情報を共有しやすくなります。
病気や薬の内容によっては、矯正治療や抜歯などを行う前に、かかりつけ医へ治療状況を確認する場合があります。薬を自己判断で中止したり、服用量を変更したりしないでください。
歯並びが悪いと歯周病になりやすい?
歯並びの乱れが、直接歯周病を引き起こすとは限りません。歯周病の主な原因は、歯の周囲に付着する細菌性プラークです。
ただし、歯が重なっている部分や、内側・外側へ傾いている部分は、歯ブラシの毛先を当てにくくなることがあります。その結果、プラークが残りやすくなり、歯ぐきの炎症につながる場合があります。
清掃しにくくなることがある歯並び
- 前歯や奥歯が重なっている
- 歯が内側や外側へ傾いている
- 歯と歯の間に段差がある
- 歯がねじれて生えている
- 歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当てにくい
- 噛み合わせによって一部の歯に強い力がかかっている
矯正治療によって歯並びが整うと、歯ブラシを当てやすくなる可能性があります。
しかし、矯正治療を受ければ歯周病にならないというわけではありません。治療後も、毎日のセルフケアと定期的な歯科受診が必要です。
歯周病があっても矯正治療はできる?
歯周病があるからといって、必ず矯正治療ができないわけではありません。
歯ぐきの炎症が落ち着き、歯を支える骨や歯の状態が安定していれば、矯正治療を検討できる場合があります。
一方、歯ぐきに強い炎症がある場合や、歯を支える骨が大きく失われている場合は、歯を動かすことで状態が悪化しないよう、慎重な判断が必要です。
矯正治療は、歯に継続的な力を加え、歯を支える骨の変化を利用して少しずつ歯を動かす治療です。そのため、歯を動かす前に、その土台となる歯ぐきや骨の状態を確認します。
歯周病が見つかった場合は、すぐに歯を動かし始めるとは限りません。必要な歯周病治療や口腔清掃の改善を行い、状態を安定させてから矯正治療の開始時期を検討します。
矯正治療前に確認する歯ぐき・歯の状態
矯正治療前には歯並びや噛み合わせだけでなく、むし歯や歯周病の有無も確認します。
歯周病の程度は、見た目だけでは判断できないことがあります。必要に応じて歯周ポケットの検査やレントゲン撮影などを行い、歯を動かせる状態かどうかを確認します。
矯正治療中も歯周病への注意が必要
矯正治療中は、装置の周囲に食べ物やプラークが残りやすくなることがあります。
ワイヤー矯正
ブラケットやワイヤーの周辺に歯ブラシを当てにくくなるため、装置に合った清掃方法を身につける必要があります。
マウスピース矯正
歯に汚れが残ったままマウスピースを装着すると、汚れが歯に接した状態が続くため、歯みがきと装置の清掃が必要です。
矯正治療中に続けたい対策
- 矯正装置の周囲を丁寧にみがく
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
- 自分の装置や歯並びに合った清掃方法を確認する
- 定期的にむし歯や歯ぐきの状態を確認する
- 歯ぐきからの出血や腫れを放置しない
- 甘い飲食物を長時間だらだらと口にしない
歯ぐきの腫れや出血が続く場合は、次の予約日まで待たず、矯正治療を受けている歯科医院へ相談しましょう。
歯周病を予防・管理するためにできること
歯と歯ぐきの境目をみがく
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、強くこすらず小刻みに動かします。歯が重なっている部分は、歯ブラシの向きを変えながら一本ずつみがきましょう。
補助清掃用具を使用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを落としにくいことがあります。デンタルフロスや歯間ブラシを使用しましょう。
定期的に状態を確認する
歯石は歯ブラシだけでは取り除けません。症状がなくても、歯ぐきや歯を支える骨の状態を定期的に確認することが大切です。
病気や薬の情報を共有する
全身疾患で治療を受けている方は、病名、治療状況、服用している薬などを歯科医師へ伝えましょう。
このような方は矯正相談時にお伝えください
- 歯が重なっていて、歯ブラシが届きにくい
- 同じ場所の歯ぐきから繰り返し出血する
- 歯ぐきが下がってきた
- 歯が動く、または噛みにくい
- 過去に歯周病と診断されたことがある
- 歯周病の治療を受けている
- 糖尿病などの全身疾患で治療を受けている
- 服用中の薬がある
- 歯周病があっても矯正できるか知りたい
これらに当てはまるからといって、必ず矯正治療ができないわけではありません。
歯ぐきや骨の状態、歯並び、噛み合わせ、全身状態などを確認したうえで、矯正治療が適しているか、先にほかの治療が必要かを判断することが大切です。
上野スマイル歯科で矯正相談を受け付けています
上野スマイル歯科では、歯並びや噛み合わせに関する初診カウンセリングを行っています。
「歯並びが原因で歯をみがきにくい」「歯ぐきが下がっているけれど矯正できるか知りたい」「歯周病を指摘されたことがあり、矯正治療に不安がある」といったお悩みも、カウンセリング時にお伝えください。
問診や口腔内の確認、必要に応じた検査を行い、歯並びや顎の状態だけでなく、矯正治療を進めるうえで注意すべき点についてご説明します。
歯周病の状態などによっては、必要な治療を先に行うことや、ほかの歯科医療機関と連携して治療を進めることをご案内する場合があります。
相談したからといって、必ず矯正治療を始めなければならないわけではありません。ご自身のお口の状態や考えられる治療方法を知るための機会としてご利用ください。
よくあるご質問
歯周病があると、必ず全身疾患を発症しますか?
いいえ。歯周病と複数の全身疾患との関連は報告されていますが、歯周病がある方が必ず全身疾患を発症するわけではありません。
糖尿病があっても矯正相談を受けられますか?
矯正相談を受けることは可能です。現在の治療状況や服用している薬をお伝えください。全身状態や口腔内の状態によっては、かかりつけ医への確認や、歯周病治療を優先する場合があります。
歯周病があっても矯正治療はできますか?
歯ぐきの炎症が落ち着き、歯を支える骨や歯の状態が安定していれば、検討できる場合があります。歯周病が進行している場合は、必要な治療を先に行ってから開始時期を判断します。
矯正治療で歯並びを整えれば、歯周病も治りますか?
矯正治療そのものが歯周病を治すわけではありません。歯並びが整うことで清掃しやすくなる可能性はありますが、歯周病には別途、適切な治療や管理が必要です。
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まとめ
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨などに炎症が起こる病気です。糖尿病をはじめとする全身疾患との関連が報告されていますが、歯周病があるからといって、必ず全身疾患を発症するわけではありません。
また、歯周病治療だけで全身疾患を治療できるわけではありません。全身疾患がある方は、医科での治療を継続したうえで、病名や服用している薬を歯科医師へ伝えましょう。
歯が重なっている部分や傾いている部分は、歯ブラシが届きにくく、プラークが残りやすくなる場合があります。矯正治療によって清掃しやすくなる可能性はありますが、矯正治療そのものが歯周病を治すわけではありません。
矯正治療を検討している方は、歯並びや噛み合わせだけでなく、歯ぐき、歯周ポケット、歯を支える骨などの状態も確認することが大切です。
歯ぐきからの出血や腫れがある方、歯並びが原因で歯をみがきにくい方、歯周病があっても矯正できるか知りたい方は、上野スマイル歯科の初診カウンセリングへご相談ください。