歯周病があっても矯正治療はできる?始める前に確認したい注意点|台東区上野で矯正歯科|上野スマイル歯科

コラム COLUMN

歯周病があっても矯正治療はできる?始める前に確認したい注意点

3行まとめ
1 歯周病があるからといって、必ず矯正治療ができないわけではありません。
2 ただし、歯ぐきの炎症・歯周ポケット・骨の量・歯の揺れを確認し、歯周病を安定させてから進めることが大切です。
3 歯周病がある方の矯正治療では、治療前・治療中・治療後の歯周病管理とメンテナンスが重要です。

「歯周病があると言われたけれど、矯正治療はできるの?」「歯ぐきが下がっている場合、歯を動かしても大丈夫?」と不安に感じている方は少なくありません。

歯周病がある方でも、状態が安定していれば矯正治療を検討できる場合があります。ただし、始める前には歯ぐきや歯を支える骨の状態をしっかり確認することが大切です。

歯周病があると矯正治療はできない?

「歯周病があると言われたけれど、矯正治療はできるの?」

「歯ぐきが下がっている場合、歯を動かしても大丈夫?」

「大人になってから矯正したいけれど、歯周病が心配」

このような不安を感じている方は少なくありません。

結論から言うと、歯周病があるからといって、必ず矯正治療ができないわけではありません。

ただし、歯周病が進行している状態、歯ぐきに炎症がある状態、歯を支える骨が大きく減っている状態で、すぐに矯正治療を始めるのは注意が必要です。

歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。歯の周囲のプラークに含まれる細菌によって歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える骨が溶けていく病気です。初期段階では自覚症状が出にくいこともあります。

矯正治療は、歯に力をかけて少しずつ動かしていく治療です。そのため、歯を支える歯ぐきや骨の状態が安定していることが大切です。

歯周病がある方の矯正治療では、矯正を始める前に歯周病の状態を確認し、必要な治療を行ってから進めることが重要です。

歯周病がある状態で矯正を始めるリスク

歯周病が進行している状態で矯正治療を始めると、歯や歯ぐきに負担がかかることがあります。

特に注意が必要なのは、活動性の歯周病がある場合です。

活動性の歯周病とは、歯ぐきの炎症が強い、歯周ポケットが深い、出血がある、歯を支える骨の破壊が進んでいる、歯が揺れているといった状態を指します。

歯周病が活動している状態で歯を動かすと、歯ぐきや骨の状態が悪化する可能性があります。アメリカ歯周病学会系の情報サイトでは、活動性の歯周病がある状態での矯正的な歯の移動は、歯ぐきや歯を支える骨の不可逆的な破壊を早め、歯を失うリスクを高める可能性があると説明されています。

そのため、歯周病がある方は、まず歯周病の状態を落ち着かせてから矯正治療を検討することが基本です。

歯ぐきの状態が気になる方へ

矯正治療を始める前に、歯ぐき・歯周ポケット・骨の状態を確認することが大切です。歯周病が心配な方も、まずは現在の状態を確認しましょう。

歯周病がある方の矯正治療で確認すること

歯周病がある方が矯正治療を検討する場合、治療前に次のような点を確認します。

確認01
歯ぐきに炎症があるか

赤み・腫れ・出血・膿などがある場合は、まず歯周病治療で炎症を抑える必要があります。

確認02
歯周ポケットの深さ

歯と歯ぐきの間の溝が深いと、細菌がたまりやすく、矯正前の治療が必要になることがあります。

確認03
歯を支える骨の量

骨の量が少ない場合は、歯の移動量や力のかけ方を慎重に計画する必要があります。

確認04
歯の揺れ

歯の揺れが強い場合、その歯を矯正で動かせるかどうか慎重な判断が必要です。

歯ぐきに炎症があるか

歯ぐきが赤い、腫れている、歯みがきのときに出血する、歯ぐきから膿が出るといった症状がある場合は、歯周病が進行している可能性があります。

このような状態では、まず歯周病治療を行い、炎症を抑える必要があります。

炎症が残ったまま矯正治療を始めると、歯を動かす力によって歯周組織への負担が大きくなることがあります。

歯周ポケットの深さ

歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間の溝のことです。

歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、そこに細菌がたまりやすくなります。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、歯周病の精密な検査として、プローブという器具で歯周ポケットの深さを調べる検査、レントゲンによって歯を支える骨の状態を調べる検査、プラークの付着状況を調べる検査などが挙げられています。

矯正治療を始める前には、歯周ポケットの状態を確認し、必要に応じて歯周病治療を行います。

歯を支える骨の量

歯周病が進行すると、歯を支える骨が減っていきます。

歯を支える骨が少ない状態では、矯正で歯を動かす際に、通常より慎重な治療計画が必要になります。

歯の移動量、力のかけ方、治療期間、メンテナンス頻度などを、歯周病の状態に合わせて調整する必要があります。

歯の揺れ

歯周病が進行すると、歯がグラグラすることがあります。

歯の揺れが強い場合、その歯を矯正で動かせるかどうかは慎重に判断する必要があります。

場合によっては、矯正治療よりも先に歯周病治療や噛み合わせの調整、保存できる歯かどうかの判断が必要になることもあります。

セルフケアができているか

矯正治療中は、装置の周囲に汚れがたまりやすくなります。

特にワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーの周囲にプラークが残りやすくなります。

もともと歯周病がある方の場合、矯正中の清掃状態が悪いと、歯ぐきの炎症が悪化する可能性があります。

そのため、矯正治療前から歯みがきの方法を見直し、歯間ブラシやフロスなどを使ったセルフケアを習慣化しておくことが大切です。

歯周病がある方でも矯正治療を検討できるケース

歯周病がある方でも、次のような状態であれば、矯正治療を検討できることがあります。

  • ✓ 歯ぐきの炎症がコントロールされている
  • ✓ 歯周ポケットの状態が安定している
  • ✓ 歯を支える骨の状態を把握できている
  • ✓ 歯の揺れが強すぎない
  • ✓ 定期的な歯周病管理を受けられる
  • ✓ 毎日のセルフケアができている
  • ✓ 矯正医と歯周病治療の担当医が連携できる

近年は、歯周病のある成人患者さんに対して、歯周病治療と矯正治療を組み合わせて行うケースもあります。2024年のBritish Dental Journalの論文でも、歯周病患者に対する矯正治療は、審美面だけでなく治療上のメリットをもたらす可能性がある一方、状態に合わせた個別の治療計画が必要だと説明されています。

また、歯周病によって歯が移動し、前歯が開いてきた、歯が傾いてきた、すき間が増えてきたという方では、歯周病治療後に矯正治療で歯の位置を整えることが検討される場合もあります。

ただし、これは「歯周病があっても誰でも矯正できる」という意味ではありません。歯周病の進行度や骨の状態によって、治療できる範囲や方法は変わります。

歯周病がある方は、先に歯周病治療を行うことが基本です

歯周病がある方の矯正治療では、まず歯周病治療を行い、口の中の環境を整えることが基本です。

歯周病治療では、主に次のようなことを行います。

  • ✓ 歯石やプラークの除去
  • ✓ 歯周ポケットの検査
  • ✓ 歯みがき指導
  • ✓ 歯間ブラシやフロスの使用指導
  • ✓ 必要に応じた深い部分の歯石除去
  • ✓ 噛み合わせの確認
  • ✓ 定期的な歯周病管理

歯周病は、痛みがないまま進行することもあります。そのため、自覚症状だけで「自分は大丈夫」と判断するのは危険です。

歯ぐきの状態、歯周ポケットの深さ、骨の状態、歯の揺れを確認したうえで、矯正治療を始められる状態かどうかを判断します。

歯周病があっても矯正できるか知りたい方へ

歯周病の状態が安定していれば、矯正治療を検討できる場合があります。まずは歯ぐき・骨・歯の揺れを確認しましょう。

歯周病がある方の矯正装置選び

歯周病がある方の場合、矯正装置選びにも注意が必要です。

ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーをつけて歯を動かす方法です。

幅広い症例に対応しやすい一方で、装置の周囲に汚れがたまりやすくなります。

歯周病がある方がワイヤー矯正を行う場合は、装置の周囲を丁寧に清掃できるか、定期的にクリーニングを受けられるかが重要です。

歯周病のリスクが高い方では、通常よりも短い間隔でメンテナンスを行うこともあります。

マウスピース矯正の場合

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯を動かす方法です。

食事や歯みがきのときに取り外せるため、ワイヤー矯正に比べて歯みがきしやすいというメリットがあります。

一方で、マウスピースを装着する前に歯みがきが不十分だと、汚れが歯に密着した状態になり、むし歯や歯ぐきの炎症につながることがあります。

また、マウスピース矯正がすべての歯周病患者さんに向いているわけではありません。歯の移動量、噛み合わせ、歯の揺れ、骨の状態によっては、別の治療方法が適していることもあります。

部分矯正の場合

前歯のすき間や軽度のガタつきだけを整えたい場合、部分矯正が検討されることがあります。

ただし、歯周病によって歯が移動している場合、見た目だけを整えても、歯周病の原因や噛み合わせの問題が残っていると、再び歯が動く可能性があります。

そのため、部分矯正を希望する場合でも、まず歯周病の状態と噛み合わせ全体を確認することが大切です。

歯周病がある方の矯正治療で注意したいこと

強すぎる力をかけない

歯周病で歯を支える骨が減っている場合、歯を動かす力には注意が必要です。

健康な歯周組織の方と同じような力をかけると、歯や歯ぐきに負担がかかる可能性があります。

歯周病がある方の矯正では、歯の移動量や力のかけ方を慎重に計画する必要があります。

治療中も歯周病管理を続ける

歯周病治療をしてから矯正を始めたとしても、矯正中に管理をやめてよいわけではありません。

矯正中は、装置の影響で汚れが残りやすくなることがあります。そのため、定期的なクリーニングや歯周ポケットのチェックを続けることが大切です。

2024年のレビュー論文でも、矯正治療中は歯周病や歯周組織の問題が起こるリスクがあり、治療前・治療中・治療後を通して歯周状態を慎重に評価する必要があるとされています。

歯ぐきが下がる可能性を理解する

歯周病がある方は、もともと歯ぐきや骨が下がっていることがあります。

矯正治療によって歯の位置が変わると、歯ぐきの下がり方が目立つことがあります。

また、歯と歯の間の歯ぐきが下がると、ブラックトライアングルと呼ばれるすき間が目立つ場合もあります。

治療前に、歯ぐきの下がりや見た目の変化についても確認しておくことが大切です。

治療後も保定とメンテナンスが必要

矯正治療後は、歯並びを安定させるためにリテーナーを使用します。

歯周病がある方は、歯を支える組織が弱くなっている場合があるため、治療後の後戻りにも注意が必要です。

リテーナーの使用に加えて、歯周病の定期管理を続けることが、治療後の歯並びを守るうえでも重要です。

歯周病がある方が矯正相談前に確認したい症状

次のような症状がある方は、矯正相談時に必ず伝えるようにしましょう。

  • ✓ 歯ぐきから血が出る
  • ✓ 歯ぐきが腫れている
  • ✓ 歯ぐきが下がってきた
  • ✓ 歯が長く見える
  • ✓ 歯がグラグラする
  • ✓ 口臭が気になる
  • ✓ 歯と歯の間にすき間ができてきた
  • ✓ 前歯が動いてきた
  • ✓ 噛むと違和感がある
  • ✓ 歯石を長期間取っていない
  • ✓ 過去に歯周病と診断されたことがある

これらの症状がある場合、矯正治療を始める前に歯周病の検査と治療が必要になる可能性があります。

特に、歯の揺れや歯ぐきからの出血がある場合は、まず歯周病の状態を確認することが大切です。

歯周病で歯が動いてきた場合も矯正できる?

歯周病が進行すると、歯を支える骨が減ることで、歯が少しずつ動いてくることがあります。

たとえば、次のような変化が起こることがあります。

  • ✓ 前歯が前に出てきた
  • ✓ 歯と歯の間にすき間ができた
  • ✓ 歯が傾いてきた
  • ✓ 噛み合わせが変わってきた
  • ✓ 昔より歯並びが悪くなった

このような状態を、歯周病による病的な歯の移動と考えることがあります。

歯周病によって歯が移動している場合でも、歯周病治療で炎症を抑え、歯周組織が安定していれば、矯正治療を検討できることがあります。

ただし、歯を支える骨が大きく失われている場合は、動かせる範囲に制限があることもあります。

見た目だけでなく、歯を長く残せるか、噛み合わせとして安定するかを考えながら治療計画を立てる必要があります。

歯周病がある方が矯正治療で後悔しないために

歯周病がある方の矯正治療で大切なのは、見た目の改善だけを優先しないことです。

前歯のすき間やガタつきが気になっている場合、早く見た目を整えたいと思うかもしれません。

しかし、歯周病がコントロールされていない状態で歯を動かすと、歯ぐきや骨に負担がかかる可能性があります。

そのため、治療前には次の点を確認しましょう。

  • ✓ 歯周病はどの程度進行しているか
  • ✓ 歯を支える骨はどのくらい残っているか
  • ✓ 歯の揺れはあるか
  • ✓ 矯正前に歯周病治療が必要か
  • ✓ 矯正中のメンテナンス頻度はどれくらいか
  • ✓ どの装置が清掃しやすいか
  • ✓ 治療後の後戻り対策はどうするか
  • ✓ 歯ぐきが下がるリスクはあるか

成人矯正では、見た目の美しさだけでなく、歯周病管理と噛み合わせの安定を含めて考えることが大切です。

歯周病がある方の矯正治療は、歯周病管理との連携が重要です

歯周病がある方の矯正治療では、矯正担当医だけでなく、歯周病治療やメンテナンスを担当する歯科医師・歯科衛生士との連携が重要です。

特に、歯周病の進行が中等度以上の場合や、歯を支える骨が減っている場合は、治療計画を慎重に立てる必要があります。

歯周病治療と矯正治療を組み合わせる場合、次のような流れになることがあります。

  • ✓ まず歯周病検査を行う
  • ✓ 歯石除去や歯みがき指導を行う
  • ✓ 歯ぐきの炎症を落ち着かせる
  • ✓ 再検査で歯周状態を確認する
  • ✓ 矯正治療が可能か判断する
  • ✓ 矯正中も定期的に歯周病管理を行う
  • ✓ 矯正後もメンテナンスを続ける

歯周病がある方にとって、矯正治療は「歯を動かすこと」だけではなく、歯を支える土台を守りながら進める治療です。

まとめ|歯周病があっても、状態が安定していれば矯正を検討できる場合があります

歯周病があるからといって、必ず矯正治療ができないわけではありません。

ただし、歯ぐきに炎症がある状態、歯周ポケットが深い状態、歯を支える骨が大きく減っている状態、歯がグラグラしている状態では、すぐに矯正治療を始めるのは注意が必要です。

歯周病がある方の矯正治療では、まず歯周病の検査を行い、必要に応じて歯周病治療を受け、歯ぐきや骨の状態を安定させることが大切です。

そのうえで、歯の移動量、装置の種類、清掃のしやすさ、メンテナンス頻度、歯ぐきが下がるリスクなどを考えながら治療計画を立てます。

「歯周病があるから矯正は無理」と自己判断する必要はありません。一方で、「歯並びを早く整えたいから」と歯周病を放置したまま矯正を始めるのも避けるべきです。

歯ぐきの状態や歯の揺れが気になる方、過去に歯周病と診断されたことがある方は、まずは歯周病の状態を確認したうえで、矯正治療が可能かどうか相談してみましょう。

この記事の監修・執筆協力

林 政美
MASAMI HAYASHI

上野スマイル歯科 院長

日本大学松戸歯学部卒業後、日本大学松戸歯学部矯正学教室に入局。1999年に日本矯正歯科学会認定医を取得し、2014年より上野スマイル歯科院長として矯正歯科治療に携わっています。

所属・資格 日本矯正歯科学会認定医
東京矯正歯科学会
対応分野 ワイヤー矯正
マウスピース矯正
舌側矯正・MFT など
実績 矯正治療を手掛けて30年
累計実績 約4,000件
学術活動 インビザライン認定ドクター
2019年 インビザライン プラチナドクター

歯周病がある方の矯正治療では、見た目だけでなく、歯を支える歯ぐきや骨の状態を確認することが大切です。矯正治療を検討する前に、歯周病の進行度や清掃状態、メンテナンスの必要性を確認し、無理のない治療計画を立てましょう。

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